初秋イベントが終わり秋刀魚漁がはじまる

 あたしは追われていた。
 工廠の煉瓦壁にもたれかかり、注意深く左右を確認する。
 人影が見えないことに安堵し、これからのことを考える。
 
 どうごまかそうか。
 とてもごまかせるような相手ではないのはわかっているのに、逃亡中の犯人の思考などこの程度のものだ。
 追手はこの泊地において管理のエキスパート。
 ネジの1本のありかだって知っているのではと艦娘達に恐れられている秘書官。
 なんということはない。
 そう、あたしの秘書官でありケッコンカッコカリをした軽巡洋艦。

 大淀である。

 今年も欧州まで遠征してきたところだが、帰投して早々に資材倉庫に連れていかれたのだ。
 眼鏡が光って大淀の目が見えないが、空気がピリピリしていた。

 この感じ・・・お説教モード
 
 遠征した独逸でも一緒だったけれども、人の目があったために溜め込んでいたのだろう。
 あたしのセクハラを責める時の比ではないレベルで感情が高ぶっているのがわかる。
 資材倉庫に到着し、大淀が鍵を開けようと注意が逸れた瞬間、あたしはダッシュでその場を逃げ出した。

 のだが、

「提督じゃないですか、どうしたんですかそんな所で。」

 声の聞こえた真上を見上げると、工廠の窓から顔を覗かせるピンク髪の艦娘が見えた。
 
「明石・・・あっ、静かに。」
 
 人差し指でジェスチャーしながらもう一度左右を確認する。
 よし、誰もいない。

「明石、ちょっと工廠に匿わせてくれないかな。」 

「それはかまいませんけどどうしましたか。大淀と喧嘩でもしましたか?」

 ちょっと面白そうに言わないでほしい。
 明石を無視して窓に手をかけると、よっと体を持ち上げ、工廠内に身をひるがえした。
 華麗に着地すると、しゃがんでいる大淀と目が合った。

「提督、探しましたよ。」 

 にこりと微笑んでいるが、笑っているのは口元だけで、目が怖い。

「おおよど・・・さん・・・」

「ごめん提督、昔のよしみで頼まれちゃってさぁ。
 あとで慰めてあげるから、とりあえずお二人でどうぞ。」

 そう言い放つとそそくさと離れていく明石。
 
「さあ提督、お話ししましょう。」

 あたしはずりずりと大淀に引き摺られ、資材庫に連行された。

 ・・・・・・

 資材庫の中はかなりのスペースが空いている。
 欧州へ出立する前はほぼ満杯だったはずだが、今は1/3程しか残っていない。
 資材庫の扉が閉じられ、二人きりになると、大淀の雰囲気が一気に変わる。
 一度うつむき、溜め込んでから上げた顔はポーカーフェイスが崩れている。
 目元には涙も浮かんでいた。

「提督、この有様をどうするのですか。」

 ばばーんとすかすかの倉庫を見渡し両手を広げる大淀。
 
「さ、作戦目標の達成に必要だったのよ。
 大丈夫、また貯められるわ。」

「攻略目標を殲滅してからの出撃が、総消費資材の30%を超えています。
 ゴトランドの2つ目の艤装のために出撃して、入手すらできていないじゃないですか。」

「そ、それは結果論よ。」

「作戦達成時点でも今後の資材回復まで4か月はかかる見込みだったのですよ。
 余計に出撃を繰り返した今はどうですか。
 いつものペースでは半年くらいかかりますよ。
 特にボーキサイトの消費が致命的です。」

 そういって、こちらの資料をご覧くださいとグラフの書かれた資料を差し出してくる。
 まだ余裕がありそうに見えるが、鼻声でくすんくすん言いながらだ。
 
「大淀、消費した資材は戻らないのよ。
 でもその後の反復出撃で深海棲艦の大西洋艦隊を駆逐し、
 フランス沿岸部の港町を深海棲艦の占領から開放できたじゃない。」

 喜んでいた人たちの顔が思い浮かぶでしょうと彼女の肩をぽんぽんとやさしくたたく。
 が、振り払われた。

「ごまかされません。
 資材が回復するまでの間、提督一押しの大型建造計画は凍結します。」

「そんなっ!?
 サラトガもう1人とあきつ丸がまだまだ必要なのよっ!!」

 今まで冷静だったのに初めて慌ててしまう。

「絶対にダメですっ!!
 このあと今年もまた秋刀魚漁にも出るのでしょう?
 大型建造は許しませんっ!!」

 ここまで頑なな彼女は初めてだ。
 まるで奥さんに隠れて車を買い替えて詰め寄られる旦那の気分だ。
 女だけど。

「わかった。
 わかったから、ちゃんと任務も消化して資材備蓄に力を入れるからぁ。
 許して大淀。」

「提督、
 資材がちゃんと溜まったら、許しますよ。」

「そんなぁ。」 

 30分後。
 提督室で省エネ攻略計画を必死に考えるあたしが机にかじりついていた。


~つづくかも~


 はい、初秋イベントでゴトランド二人目を狙ったけれども出ませんでした。
 資材を浪費しただけで終了です。
 IOWA二人目の時といい、最近このパターンが多いですね。

 結果に結びつかないと、時間と資材の無駄なのですよね。
 しかたがないので、遠征の効率化と編成の見直しをしています。

 燃料と弾薬はともかく、ボーキサイトの消耗が痛いです。

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