ジェバ提督の謎日記 ~艦これ~

リンガ泊地。
南西諸島海域のほぼ中央部に位置する島嶼の1つで、深海棲艦への反抗拠点として力を蓄えている。
深海棲艦の跋扈によって人類が大陸に引き揚げると同時に一度うち捨てられた。
現在は艦娘の進出にあわせて、周辺海域から深海棲艦を掃討し、艦娘の一大拠点となっている。
島の中央部は内海が広がり、外海との間は水路で接続されている。
内海は10~20海里もの奥行きがあり、艦隊運動を行うに十分な広さがあった。
ただし、赤道に近く常夏の島であるため、1年を通じて暑さは厳しい。

先月の、西方海域への大規模作戦が終了したせいか、泊地に活発な動きは見られない。
提督執務室でそう多くはない書類仕事を終えてしまえば、あとはなにもすることがない南の島。

いや、遠征艦隊だけは慌ただしく出入りしている。

西方海域カレー洋に乗り込み、一時的にリランカ島を確保し、更にステビア海に進出。
西方諸国との海路を一時的に復活させた代償は燃料の枯渇だ。

しばらくは大型艦の出撃を控えて、遠征に精を出さないと。

窓全開でもそう涼しくはない提督執務室で、一人頭を抱えている提督がいた。
外見に似合わず少将の胸章をつけている。

手元にあるのは編成表。

水上機母艦3
潜水艦5
正規空母7
航空戦艦4
高速戦艦5
低速戦艦1
軽空母7
航空巡洋艦5
重巡洋艦6
重雷装巡洋艦3
軽巡洋艦7
駆逐艦25
工作艦1
練習巡洋艦1

計80人


「決戦戦力が足りないなぁ。」

大和型2人と長門がまだ着任していない。
そもそも小型艦を優先して鍛えたきたせいで、戦艦と空母自体、育っていないのだが。
そもそも大和型が着任しても出撃させる燃料と修理用の鋼材が心許ない。
弾薬とボーキサイトには若干の余裕が見られるが、これまで重巡から駆逐艦を主として運用していた成果であるし。

「はぁ、今は備蓄するしかないのね。」

せっかく明石が用意してくれた大型ドックも使用したのは1度きり。
しかもなけなしの資材を投じてできたのは、まるゆという三式潜行輸送艇だった時のショックがあとを引いている。

「せめて長門でもいいから欲しい。」

独り言が恒例になりつつある。
執務をあきらめ、ふてくされて応接セットに横になる。
重力とほどよい体の沈み加減が心地よく感じ始めた時、執務室のドアが開いた。

「提督、失礼します~ってもう、またさぼって。」

「大淀かぁ~」

顔だけ器用に彼女を向くと、体を起こす。
ソファーの感触が名残惜しく、少々ごきげんななめに見えたのか、大淀はため息一つついただけでそれ以上追求してはこなかった。
大淀はあたしの隣に腰掛けると、手元のバインダーを渡してくる。

「これなに?」
「要望書です。」

差出人は、リットリオ、扶桑、山城、葛城、鳥海、レーベ(Z1)、マックス(Z3)と書かれていた。

「改装設計図ならないわよ。」

表情をきりりと引き締めてまじめに答える。
一部の艦娘は『更なる改造』に改装設計図が必要となるが、勲章との交換が必要となる。
これまでに叙勲された分は利根と筑摩の改装に使ったため、現在は勲章すらない。

「そもそも経験値が足りない娘も混じってるじゃないの。」

かなり高い練度も必要だ。

「提督に順番を決めて欲しいそうですよ。あとは、やはり催促ですね。」

にこやかに答える大淀。
実用一点張りに艦娘を厳選して育てているため、一応考えてはいるが。

「勲章が足りないんだもん。勲章もらうためには出撃しないと・・・燃料ないでしょう。」

「鋼材も足りませんねぇ。」

「わかってるじゃないの・・・大淀のいぢわる。」

彼女にもたれかかり、膝枕体制にもっていこうとしたところを、紙一重で立たれてしまう。
ジェバは後頭部をソファーに沈ませ口をとがらせた。

「うーん、いけず。」

「間宮のアイスでしたらご一緒しますよ。」

「よし、いこういこう。」

反動をつけて飛び起きると、大淀の手をとって間宮へ急いだ。
机には忘れ去られた書類を残し。

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